手の疾患
ここでは上記画像で振られた番号部分の手の疾患について説明いたします。
下記項目をクリックでそれぞれの疾患についてご覧いただけます。
①ヘバーデン結節
指の第一関節が変形し曲がってしまう原因不明の疾患です。
主に人指し指から小指の第1関節が腫れたり、曲がったりします。痛みを伴うこともあります。親指に見られることもあります。
ヘバーデン結節の原因
原因は不明ですが、一般的に40歳以降の女性に多く、手を良く使う人はなりやすいです。遺伝性は証明されていません。
ヘバーデン結節の症状
- 腫脹
- 変形
- 疼痛
- 可動域制限
ヘバーデン結節の診断
第1関節に上記の様な症状があり、レントゲン写真で関節の隙間が狭くなっていたり、骨棘などがあればヘバーデン結節と診断できます。 手の変形が起きる疾患としてリウマチが有名ですが、リウマチの診断には専門的な検査が必要である為、医療機関を受診するようにしてください。
②ガングリオン
手首などの関節周辺に多くでき、米粒からピンポン玉くらいまでの大きさの腫瘤で、多くの場合痛みはありません。腫瘤は関節や腱鞘と繋がっており、関節や腱鞘の潤滑液が濃縮されゼリー状になったものが腫瘤の中に詰まっています。
丸いしこりが外観と触診で確認出来ます。柔らかい場合や固い場合があります。 手首周辺に限らず、あらゆる関節に発生します。
ガングリオンの原因
原因は不明です。女性に多く発生します。
ガングリオンの症状
無症状の場合が多いです。稀に不快感や、神経を圧迫してしまうことで、しびれや痛みが起こることがあります
ガングリオンの診断
注射器を刺してゼリー状の内容物が吸引できればガングリオンと診断されます。小さなものはMRIや超音波検査を行い診断します。
ガングリオンの治療
無症状であれば放置しても問題はありません。大きくなるものや、痛みが強いものまたは、神経を圧迫するものは治療が必要です。
- 保存療法…注射器で中身を吸引し内容物の排出
- 手術療法…繰り返す場合には手術療法で摘出します
③母指CM関節症
母指CM関節症とは
手物をつまむ時や瓶の蓋を開ける時など、母指に力を必要とする動作で痛みがでます。 進行すると母指が開きにくくなり、CM関節の変形は外見からも分かるようになります。
母指CM関節症の原因
母指CM関節はよく動く関節なので、使い過ぎや加齢に伴って発症します。その他に、この部分の脱臼や骨折後に起ることがあります。関節軟骨がすり減り、進行すると関節は亜脱臼していきます。
母指CM関節症の診断
母指のつけ根が腫れ、押すと痛みが生じます。母指を捻るように動かすと、強い運動時痛があります。 レントゲン検査で関節のすき間が狭く、骨棘や変形があれば診断がつきます。 手の変形が起きる疾患としてリウマチが有名ですが、リウマチの診断には専門的な検査が必要である為、医療機関を受診するようにしてください。
母指CM関節症の治療
治療としては、痛みや腫れが消えるまでは安静にします。軟性の装具などを使って、手首の動きの制限を行います。それでも痛みが続く場合は痛み止めの内服、関節内注射を行います。
④ばね指
ばね指とは
指は腱によって曲げ伸ばしすることが出来ます。腱には浮き上がりを押さえる腱鞘というトンネルがあります。 腱と腱鞘の間で炎症が起こると、指のつけ根に痛み、腫れ、熱感が生じます。 使い痛みなどによって生じた、手のひら側の腱鞘炎です。指の屈伸運動を行うとばねの様な引っかかりとともに、痛みが生じます。
ばね指の原因
指の使い過ぎや、更年期、妊娠、産後のホルモンバランスの乱れにより生じることがあります。 母指、中指、薬指に多く見られます。
ばね指の診断
指の付け根に腫脹や圧痛があり、引っかかりがあれば診断は容易です。 症状で三段階に分けられます
初期症状
- 指の動かす時のみに痛みの発症
- 親指のつけ根などに違和感
※日常生活で支障をきたさない段階です。
中期症状
- 曲げた指が戻り辛い
- 指の曲げ伸ばしが困難
- 痛みがやや強い
※日常生活にも徐々に支障をきたし始めます。
末期症状
- 指の屈伸は全く出来ない
- 自力で指の運動が出来ない
- 無理に動かすと激痛が走る
※日常生活で支障をきたさない段階です。
ばね指の治療
治療としては、局所の安静や投薬、注射などがあります。改善がみられない場合には手術を行います。
- 薬物療法 …消炎鎮痛の内服を行い疼痛の軽減を図ります。
- 手術療法 …改善がみられない場合は行います。末期症状では手術を行います。
⑤ドケルバン病(狭窄性腱鞘炎)
ドケルバンとは
手の腱鞘炎の一つです。特に母指側にある「長母指外転筋腱」と「短母指伸筋腱」と言う腱の通るトンネルの中の動きが悪くなり、腫れや痛みなどの症状が生じるものをドケルバン病と呼びます。
近年ではスマートフォンの過度の使用などが症状を引き起こしやすくなっています。
ドケルバンの原因
- スポーツや仕事による母指の使い過ぎ
- 妊娠や更年期によるホルモンバランスの乱れ
ドケルバンの症状
- 母指側の痛み
- 腫れ
ドケルバンの診断
- フィンケルシュタインテスト
腱に牽引ストレスを加え痛みがあれば陽性です。
ドケルバンの治療
治療としては、痛みや腫れが消えるまでは安静にします。軟性の装具などを使って、手首の動きの制限を行います。それでも痛みが続く場合は痛み止めの内服、関節内注射を行います。
- 薬物療法 …消炎鎮痛の内服を行い疼痛の軽減を図ります。
- 装具療法 …手首のサポーターの装着を行い安静を図ります
⑥手根管症候群
手根管症候群とは
手首の手のひら側にある骨と靭帯に囲まれた手根管というトンネルの中を、正中神経と9本の腱が通っています。このトンネルの中で神経が圧迫され、人差し指、中指を中心に指のしびれや痛み、運動障害を引き起こします。
手をよく使う人や妊婦さん、骨折既往のある人に見られやすく、特に中年女性に多く見られる疾患です。
手根管症候群の原因
仕事や家事などによる手の過度の使用や妊娠によるむくみ、骨折や腫瘤による圧迫、血液透析によるアミロイドの沈着など様々な原因が考えられ、特定が難しいことが多いです。
また閉経によるホルモンバランスの影響により、中年女性に多く見られています。
手根管症候群の症状
OKサインなどの対立運動が出来ない
ドケルバンの診断
ティネル徴候
手関節をたたくとしびれ、痛みが指先に響く
ファレンテスト
手を背側で合わせてしばらくするとしびれなどの症状が悪化する
手根管症候群の治療
治療としては、局所の安静や投薬、注射などがあります。改善がみられない場合には手術を行います。
- 薬物療法 …消炎鎮痛の内服を行い疼痛の軽減を図ります。
- 手術療法 …改善がみられない場合は行います。