肩鎖関節損傷とは
肩鎖関節とは、鎖骨の外端と肩甲骨の肩峰で構成される関節です。その部分のケガを肩鎖関節損傷と呼びます。通常は靭帯で補強されていますが、肩からの転倒や衝突で、肩の外側の強打により靭帯の損傷を起こし発生します。 スポーツではアメリカンフットボール、柔道、ラグビーなどのコンタクトスポーツで発生する事が多いです。バイクや自転車での事故、作業中の転倒、転落などでも発生します。
触診するとこの辺りになります。
原因
- 肩からの転倒や、衝突での肩外側の強打
- 転倒
- 接触
症状
- 可動域制限
- 腫脹
診断
上記の症状に加え、骨折との鑑別や損傷程度の評価のためレントゲンやCTの撮影を行います。
- 肩鎖関節損傷の分類
鎖骨と肩甲骨の肩峰をつなぐ肩鎖靱帯、鎖骨と肩甲骨の烏口突起をつなぐ烏合鎖骨靱帯の損傷の度合いで分類を行います。 - Ⅰ度(捻挫) … 肩鎖靱帯の部分損傷
- Ⅱ度(亜脱臼)… 肩鎖靱帯の断裂、烏口鎖骨靱帯の損傷
- Ⅲ度(脱臼) … 肩鎖靱帯、烏口鎖骨靱帯の断裂及び、周辺の筋損傷
Ⅲ度損傷では下記の様な症状が見られます
- 変形 …脱臼の場合、鎖骨の外端が上方への突出します
- ピアノキーサイン(弾発現象)…突出した鎖骨を下方へ押し込むと、バネの様に弾む感覚があります
肩鎖靭帯の部分的な損傷
肩鎖靭帯の完全断裂及び、烏口鎖骨靭帯の部分損傷
鎖骨は亜脱臼となります
肩鎖靭帯、烏口鎖骨靭帯は完全に断裂し、鎖骨は脱臼しています
治療
Ⅰ度損傷…保存療法
- アイシング
- 固定 (2~3週の三角巾固定)
- 痛み、腫れが引いてきたら肩関節の可動域訓練、筋力訓練を行っていきます。
Ⅱ度損傷…保存療法
- アイシング
- 固定(2~3週の三角巾、テーピングによる固定)
- 痛み、腫れが引いてきたら肩関節の可動域訓練、筋力訓練を行っていきます。2ヶ月間は重量物の持ち上げやコンタクトスポーツは禁止です。
Ⅲ度損傷…手術療法適応になる
活動レベルにより、Ⅱ度損傷と同様に対応しますが、若者や競技スポーツにより手術の適応となります。 様々な手術の方法があるため、医師とよく相談が必要です。
運動療法
- 可動域訓練
- 肩のインナーマッスルのトレーニング
写真の様にゴムチューブを掴み、外側へ引っ張ります。
- 肩甲骨周囲筋の筋力強化
肩をすくめる様に動かし、肩甲骨を上方へ引き上げます。
スポーツ復帰の時期や治療内容などは医師・機能訓練士がアドバイスをしていきますので、お気軽にご相談ください。