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病態

後十字靭帯損傷(こうじゅうじじんたい)とは、膝の関節内にある後十字靭帯の損傷をいいます。
主に車の事故やバイク事故、ラグビーなどのコンタクトスポーツにて他人と衝突し受傷することが多い疾患です。

交通事故の際に、ダッシュボードに膝を強く打ちつけ、脛骨が後方に強制的に押し込まれ受傷する、いわゆる「dashboad injury(ダッシュボード損傷)」などがあります。
完全断裂を起こすことは少なく、単独損傷では症状も軽度のため、しばしば放置されることもあります。

基本的には保存療法で治療を行います。後十字靭帯の損傷は受傷時には靭帯周囲の組織からの出血により、関節内が腫れてしまいます。

原因

大腿骨に対して脛骨が後方に押し込まれる力によって靭帯が損傷を受けます。

1.交通事故
ダッシュボード損傷とも言われ、車が急停車しダッシュボードに膝(脛骨の上端部)をぶつけることによって起こります。

2.転倒
膝を90°曲げた状態で転倒すると脛骨が後方に押し込まれるため受傷します。

3.コンタクトスポーツ(ラグビーなど)
膝下にタックルを受けることで後十字靭帯が損傷を受けることがあります。

これらの受傷機転で損傷を受けることが多いです。

症状

膝周囲の痛み
急性期には膝の周囲に激痛が伴います。時間経過とともに痛みは軽減します。

可動域制限
疼痛のために膝が動かしにくくなります。炎症が治まると可動域は改善してきますが、不安定性が残ることが多いです。

腫れ
炎症が起こるため膝周囲の腫れが認められます。

圧痛
膝裏を押さえると痛みがあります。

皮膚損傷
転倒や事故による靭帯損傷では、脛骨の上端部などに皮膚の損傷が認められます。

不安定性
急性期では疼痛や腫脹のため膝が動かしにくい症状があります。
放置した場合や損傷の仕方によっては、膝関節に不安定感を残すことがあります。
日常生活やスポーツに支障のでる場合は手術によって靭帯の再建が行われます。

膝崩れ(Giving Way
慢性的な症状として患側に体重がのった際に膝がカクッと力が抜けるような膝崩れ現象が起こります。主にジャンプの着地時やダッシュ時、階段の昇降時や坂道の下りに起こることが多いです。

診断

脛骨後方引き出しテスト
背臥位で膝を90°曲げた状態で膝を立てる。脛骨の上方を把持し前後動揺を確認する。後方への不安手性を認める際は、陽性とされる。

レントゲン
骨折を伴っていないか確かめる。

●MRI
靭帯損傷の程度と合併症(半月板損傷や軟骨損傷)の確認をする。

治療法

損傷の程度や患者自身の生活状況によって治療法は異なります

保存療法
  ・部分損傷の場合には手術が行われないことが多いです
   脛骨(すねの骨)が後方にずれないように押さえる装具やテーピングで固定します
        

手術療法
  ・再建術:完全損傷で不安定性が残っている場合に行います
  ・自分の腱を採取し、靱帯があった場所にトンネルを掘り、そこに腱を通して固定します

リハビリテーション
  ・ 保存療法後は、関節が硬くならないよう可動域運動、筋力低下を防ぐ筋トレを行います
     ・手術療法後は、ひざを曲げる運動や、筋力をつける運動を行います

保存療法、手術療法でもすぐに歩行は行えます
  スポーツ復帰には6ヶ月以上かかる場合があります
  ひざの不安定性が残ったまま放置すると、半月板や軟骨を痛め、変形性膝関節症になることがあります

スポーツ復帰の時期や治療内容などは医師・機能訓練士がアドバイスをしていきますので、お気軽にご相談ください。